10月は3R推進月間! 廃棄物おさらい月(1)家庭ごみ全体像編
(1)家庭ごみ全体像編
10月20日はリサイクルの日、「(10)ひとまわり・(20)ふたまわり」からこの日が制定されたそうです。環境省など省庁は、毎年10月を「リデュース・リユース・リサイクル推進月間(略称:3R推進月間)」と定め、普及啓発活動を実施しています。個人的に10月を廃棄物のお勉強月間に制定しまして、今一度、全体像をおさらいしようと思います。特に家庭ごみについては日々の生活に関係のあるところなので軸にして調べていきます。今回は、全体像編です。家庭ごみを取り巻く総量や政策などの大方針を調べました。
廃棄物の区分 家庭ごみとは?
まず、家庭ごみの定義を確認します。廃棄物は以下の区分となっています。緑色の部分は自治体が責任を負う部分です。青い色の産業廃棄物は事業者が処理責任を負います。家庭から出るゴミは、「一般廃棄物」の中の「ごみ」の「家庭ごみ」の分類です。また「家庭ごみ」も一般ごみと粗大ごみに分かれていますね。家庭ごみの回収は自治体が責任をもって実施します。
品川区各辺30センチ以上が粗大ごみだったのに対し、逗子市では50センチ以上と大きいサイズからとなり、自治体ごとに違うことにも驚きました。
ちなみに、オフィスビルから出る廃棄物には一般廃棄物と産業廃棄物が混ざっています。例えばオフィス内で出るびん、かん、ペットボトルなどは産業廃棄物の「事業活動に伴って生じた穂廃棄物のうち法令で定められた20種」、対して紙類、段ボール、生ごみは一般廃棄物の「事業系一般廃棄物」扱いとなります。
日本の廃棄物総量は?
そもそも、日本の廃棄物の総量はどの程度でしょうか。環境省がとりまとめをしていました。「 循環型社会形成に向けた数値目標の進捗状況(環境省) 」によると、日本での資源利用の観点から国内の資源循環全体を取りまとめた図です。総資源のサイクルを描いています。廃棄物の発生は575百万トン途方もない量ですね。また、総物質投入量のうち15%に当たる261百万トンは循環利用された分であると読み取れます。想像よりも多かったです。今後、循環型社会構築のためには、大枠を理解しておくと良いですね。この機会に確認できてよかったです。
最終処分(15百万トン)とある量は、廃棄物の埋め立て量です。埋立ての量は、廃棄物の循環利用の促進により長期的には減少傾向にあり、平成12年度(2004年)と比べて74%減。減少要因は産業廃棄物の循環利用によるものですが、近年では減少傾向が鈍化しており、今後は、一般廃棄物の埋め立て量の削減が課題とのことです。
廃棄物による地球温暖化への影響は?GHG排出量は?
廃棄物由来のGHG(温室効果ガス)排出量は、平成26年(2014年)度は約37.4百万トン。平成 12 年(2000年)度と比較すると約 20% 減少していますが、平成 21 年(2009年)以降は横ばいです。
廃棄物として排出されたものを原燃料への再資源化や廃棄物発電等に活用したことによる他部門での温室効果ガス量は着実に削減されています。つまり、主に企業の努力や自治体による資源の有効利用にやり温暖化原因の削減につながった、というデータになっています。
今後更なる削減に向けては、前述の埋立て総量と同じく、一般廃棄物への対策が必要です。
循環型社会形成に向けた数値目標の進捗状況(環境省 H29 ): https://www.env.go.jp/recycle/circul/keikaku/tenkengaiyo3_3.pdf
廃棄物削減の目標はあるの?
これらの背景を受けて、自治体は廃棄物削減目標を立てています。目標の建て方も様々です。
環境省
一般廃棄物の減量化(1人1 日当たりのごみ排出量)を平成 12年(2000年)度比 25%削減
平成 26(2014)年度の1人1日当たりのごみ排出量(計画収集量、直接搬入量、集団回収量を加えた一般廃棄物の排出量を1 人1 日当たりに換算)は947グラムで、平成 12 (2000)年度比では 20.1%削減されました。目標の25%までもう少し努力が必要ですね。ごみを、いかにに減らす暮らしをできるか、個人で考えられることは多そうです。計算上、日本では人一人が1日当たり1キロ近いごみを出しているのも驚きですね。 全国民が一人ずつ900グラムより少ない量に減らせば、環境省の目標は達成です 、頑張ろう。
2050年までに廃棄物分野における温室効果ガス排出をゼロにすることを目指す。
2050年カーボンニュートラルに向けた廃棄物の考え方が「廃棄物分野における地球温暖化対策について(環境省)」にまとめられています。廃棄物の発生を抑制するとともにマテリアル・ケミカルリサイクルなどによる資源循環と化石資源のバイオマスへの転換を図り、焼却せざるを得ない廃棄物についてはエネルギーによる炭素回収・利用を徹底目標の達成を目指すものです。野心的ではありますが、2050年に向け当然廃棄物の分野でも排出ゼロを目指す必要があります。達成に向けては、根本的にごみを減らし、ごみを出さない仕組みを作り、どうしても廃棄するものは効率的にリサイクルするという方法に転換していくアプローチが効果的だと思います。
廃棄物分野における地球温暖化対策について https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/ondanka_wg/pdf/004_04_04.pdf
東京都
一般廃棄物のリサイクル率2030年目標 37%
東京都も国に続き様々な方向から目標を立てています。家庭ごみに関するものも多く、脱プラスチックの観点からも注目が必要です。
例えば、②プラスチック焼却削減量を2030年に40%とありますが、燃やすしかないプラスチックを40%削減するのはなかなか至難の業です。家庭でもプラスチックをゆすぎ汚れを軽く落としたうえで資源として回収することで貢献可能です。ともかく燃やすごみに混ぜないことが大切です。 ④はリサイクル率についてです。こちらも燃やすごみの削減につながります。2025年に30%と短期的な目標もあります。より家庭ごみの分別を促進し、リサイクルに回す動きが必要です。③食品ロスについても支援を行う予定とのことです。
計画目標
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/basic/plan/resource/waste_treatment.files/R3plan-abstract.pdf
【資源ロスの削減】
①一般廃棄物排出量: 2025年度 440万トン、2030年度 410万トン
②プラスチック焼却削減量:2030年度 40%(2017年度比)
③食品ロス削減量 :2030年度 38万トン
【循環的利用の推進と最終処分量の削減】
④一般廃棄物再生利用率:2025年度 31%、2030年度 37%
⑤最終処分量:2025年度 82万トン、2030年度 77万トン
【災害廃棄物の処理体制の構築】
⑥区市町村災害廃棄物処理計画策定率:2025年度 100%
主要な施策 重点的に対策するもののみ抜き出し、特に今後ウォッチしていきたい部分に色を付けました。都市と言えば消費の象徴ととらえられがちですが、上記の数値目標に加えて具体的な施策を列挙し実施に向けて動いています。いち住民、もしくはいち会社員としてはまだ施策の転換を感じるところまでは来ていませんが、徐々に企業と連携した動きなど探していけたらと思います。積み上げ方式ではなかなか達成できない目標でありつつも、日々現場で廃棄物が出るというところ、廃棄物への対策は地道にやっていくしかないのでしょうか。私は、企業で廃棄物について考えている立場でもありますが、方針は大きく出しつつかなり地道な調整が必要となるのでぜひ東京都の職員の方も応援したい気持ちでいます。なるべくごみが出ない製品設計や制度設計をしていくに限るのではと考えています。マイボトルやエコラップ、竹の製品を使うなどの工夫をしています。日々の奮闘をぜひこのブログでご覧ください!
主要な施策
施策1 資源ロスの更なる削減
・プラスチック削減プログラム及び食品ロス削減推進計画に基づき、消費者やメーカー等と連携した施策の推進〈重〉
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/basic/plan/resource/waste_treatment.files/R3plan-abstract.pdf
・家庭ごみの有料化、事業系ごみの受入料金適正化なども含めた廃棄物の発生抑制策の検討
施策2 廃棄物の循環利用の更なる促進
・分別収集拡大による家庭系プラスチックごみのリサイクル促進〈重〉
・事業者の自主的な取組促進及び区市町村と連携した指導により事業系廃棄物の3Rを推進〈重〉
・工事現場での分別徹底などにより建設廃棄物のリサイクルを促進
・環境配慮製品の普及拡大や海ごみ対策の推進など、資源ライフサイクルでの環境負荷低減
施策3 廃棄物処理システムの強化
・事務処理や各種届出等の手続きにおける電子化推進、ICTやRPA活用による業務効率化〈新〉
・事業系廃棄物の連携収集により収集運搬を効率化するなど、社会構造の変化に柔軟に対応できる処理体制を構築〈新・重〉
・区市町村が運営する廃棄物処理施設等の広域化・集約化による社会コストの削減〈新〉
・処理が難しい廃棄物の処理困難性の評価を含めた処理の制度的な枠組みを検討〈新・重〉
・PCB対策及び不法投棄対策の確実な推進
施策4 健全で信頼される静脈ビジネスの発展
・新たな取組を事業化する上でのハードルを下げるため、モデル事業の実施により試験的に社会実験に取り組める場を提供するとともに、事業者がチャレンジしやすい環境を整備
・サーキュラー・エコノミーに向けた枠組みを検討するなど環境対策と経済を両立〈重〉
施策5 社会的な課題への的確な対応
・感染症対策の徹底等による事業継続性の確保、システムとしてのレジリエンス強化〈新〉
・首都直下地震等に備え、地域で処理するための共同組織、関連団体との連携などを推進〈重〉
・広域連携によるリサイクルや不法投棄撲滅に向けた取組の推進
・ゼロエミッションに向けた政策の検討、個別事業の実施〈重〉
日々、何をしたらいいのだろう
廃棄物をめぐる全体感をまとめてみて感じたことは、まずは廃棄物の元となる製品の設計や制度の設計に切り込む必要があることです。消費者としては、なるべく長く使えるものを買う、もしくは借りる、譲り合うなどをすることできると思います。リサイクルは最終手段で、捨てるしかないものをリサイクルする、というとらえ方が必要ですね。ネット上でもリサイクル神話があります。確かに国内の再利用率は、分別への協力により米国などに比べかなり高い割合で実行していると聞きますが、リサイクルにもエネルギ―を使います。1日当たり947グラムの平均値よりは下を狙いたいと思いました。全国民が一人ずつ900グラムより少ない量に減らせば、環境省の目標は達成です。これならできる気もしますね。1日あたり50グラムくらいごみを減らすのを目安に暮らしてみたいと思います。今週より来週のごみの量が減るのが理想です。今後も、日々奮闘していきたいと思います。皆様もお知恵があればぜひ教えてください。