飲料水 ①容器はペットボトルかアルミ缶かどちらが良いのか
脱プラスチックが叫ばれる昨今、飲料容器ペットボトルに対しての対処法に悩みますよね。例えば、企業にとっても、応接会議室で出すお水をペットボトルにするかなど悩みどころが多いです。しかも、企業やメーカーにより対応が異なっていて混乱してしまいます。どちらが良いのか、比較検討をしてみました。
また、紙製容器のお水も最近多く出てきています。別の記事「飲料水 ②紙製容器のお水を最近よく見かける」にしていますので、こちらもご参照ください!
ペットボトルをめぐる社会情勢
プラスチックは、石油由来製品であることによる地球温暖化への影響や、海洋ごみ問題において問題視されています。世界や国内、業界内でも動きが活発ですね。特に大手の飲料メーカーはペットボトルのリサイクルに力を入れています。日本は、ペットボトルの回収率が84%と諸外国に比べとても高い水準であることもありリサイクルに向いているとの判断のようです。
・海洋プラスチックごみのうち実に7.5%が飲料容器だといわれています。
・EUを筆頭に、日本国内でも「使い捨てプラスチック」に対する法規制の整備が進んでいます。
・2018年ダボス会議(世界経済フォーラム)において、飲料メーカーサントリーの社長がペットボトルの積極的なリサイクルや新技術(ペットボトルからペットボトルへのリサイクル技術)を使用しさらにリサイクルを進めていく発表をしたのに対し、北欧の出席者から、そもそもペットボトル推進すること自体への懐疑的なコメントもありました。
・飲料メーカーの連合体である全国清涼飲料水連合は、2030年までに50%を再生ペットボトルを利用するという業界の目標を立てています。
ペットボトル・缶・マイボトルの環境負荷の比較
結論からすると、ペットボトルとアルミ缶、それぞれ使用したときのライフサイクルCO2(LCCO2)の排出量は大きな差はありませんでした。他レポートによると、アルミ缶の方がCO2排出量が大きいというデータもあります。今回使用したのは、平成16年の環境省によるリサーチデータですので、ペットボトルのリサイクル新技術(ペットボトルからペットボトルへのリサイクル技術)を反映できていないデータである点等、あらかじめご理解ください。
合わせて、マイボトルで水道水を給水する場合の環境負荷も見てみました。ライフサイクルCO2はペットボトルやアルミ缶に比べて極端に低いです。マイボトル使用した場合の算出では、ステンレス製のマイボトルを100回使用したときの1回分です。マイボトルを習慣にして何度も使用する必要がありますね。大切に長く使えば使うほど環境負荷を下げられるのは気持ちが良いことだと思いました。
まとめ
飲料容器 | CO2排出量 | 回収効率・ リサイクル率の違い | 海洋汚染の視点 | その他の留意事項 |
ペットボトル 500mlペットボトル(耐熱) | 145 gCO2 /1本 ライフサイクルCO2はアルミ缶と同程度 | 国内のペットボトル回収率84% ペットボトルの回収率が欧米の2倍 全国清涼協会はは2030年ボトルからボトルにリサイクルする率(水平リサイクル率)50%目標としている。 現状は水平リサイクル率は12.5% | 海洋ごみの23%がプラ(容積48%) 海に流出したプラのうちペットボトルは重量7.5% (容積12%)を占める | 欧米、オーストラリアなどを中心に脱ペットボトルの動きが加速。 |
アルミ缶500ml缶 | 122 gCO2/1本 ペットボトルと同程度 | 国内のアルミ缶回収率81% 水平リサイクル率は71%とすでに完成した水平リサイクル市場となっている。 | 金属類は海洋ごみ全体の0.4%. かつ、自然界で分解しないため、生態系の影響はプラスチックほどない? | 製造時に大量の電力を消費、電力の安い国での製造に頼る。 |
マイボトル ステンレス製マイボトル100回使用した場合 | 排出量極端に少ない 13.9 gCO2/1回 ペットボトルの1/10 | ー | ー | 衛生面への留意が必要。 |
上記の表のソースは環境省の資料です。
ペットボトル、アルミ缶のCO2量参照:環境省平成16年度 容器包装ライフ・サイクル・アセスメントに係る調査事業 報告書- 飲料容器を対象とした LCA 調査
マイボトルのCO2排出量参照先:「リユース可能な飲料容器およびマイカップ・マイボトルの使用に係る環境負荷分析について
ペットボトル以外の容器導入のうごき
ペットボトルからアルミ缶への切り替え例
無印良品 2021年4月 「みずから、はじめよう。」ペットボトルからアルミ缶への切り替えと水プロジェクト活動拡大のお知らせ
飲料の主力商品12種類をペットボトルからアルミ缶に切り替え。お店でもアルミ缶が売っていますね。容量ペットより、内容が減り実質は値上げとなっています。アルミ缶の水平リサイクル率の高さに着目し循環型原料への切り替えを促進しています。
ペプシコ 2019年6月 ミネラルウォーター販売をペットボトルからアルミ缶に切り替えへ 米国地区が対象
ペプシコは米国地区を対象に、ミネラルウォーター製品Aquafinaのペットボトルをアルミ缶に切り替える計画であることを発表しました。日本ではまだ缶での発売は無いようです。
コーラ 2019年9月 水DASANIをアルミ缶で販売
コーラのお水DASANIを北米中心にアルミ缶版の発売をすることにしています。ペットボトルは廃止しませんが、徐々にアルミ缶を増やす方針と発表しました。こちらも日本での販売はまだ行われていません。リンクはアメリカのニュースメディアCNNのリンクを貼りました。記事によるとコカ・コーラは2017年3.3百万トンのプラスチックを作り出したとのことです。すごい数字ですね。
今後も、アルミ缶の事例を見つけたら紹介していきたいと思います。
過去の記事はこちら
まとめの表からも、マイボトルによる環境負荷の少なさがわかりました。マイボトルの購入に迷っている方や、街中で水を組みたい時に便利なアプリMymizuの紹介記事はこちらからどうぞ。
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